宮崎駿監督「NO!原発」の表紙で話題だった『熱風』を読んでのジブリ的な注目点 - アニメ
20
2011

宮崎駿監督「NO!原発」の表紙で話題だった『熱風』を読んでのジブリ的な注目点

CATEGORYアニメ
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※当方のミスで当初、記事タイトルが「「NO!原発反対」となってしまっておりました。正しくは「NO!原発」です。twitterなどでリンクしてくださっている場合、修正前の状態で引用されている場合がございます。申し訳ございません。


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この表紙で、発行前から話題となったジブリ発行の「熱風」。写真のインパクトによる話題性の割に、読んだという人をネット上で見ないのが非常に残念なところです。(実は私の知らない震災や原発に対して熱いサイトでは話題になってるのかな?)

とりあえず原発というよりジブリ的に気になったところを書いてみようかと思います。

横断幕について。

宮崎:あの横断幕は自分たちにとって本当に正直なスローガンを作ろうとしたものです。自分の短な人間と話していると、「反原発」という言葉自体がイデオロギーみたいになる。僕は原発をなくすことにはもちろん賛成ですけれど、「反原発」とか「いやいや必要だよ」みたいな話に巻き込まれるのは嫌だから。鈴木さんは学園紛争世代だから「阻止せよ」とかね、そういう言い方を喜ぶけれど、そういうのはどこかで嫌なんです(笑)。立看屋さんに書いてもらうとそういう字になるし。僕らはもっと攻撃的でない形で自分たちで書こうということになりました。




福島原発内にあっったトトロのお店について。そしてジブリの原発に対する立場。

鈴木:実はあの震災から半年くらい前、去年の夏なんですが、ひとつの事件があったんですよ。僕らの監督不行き届きだったんですけど、福島原発の施設内にいろいろなお店が入っていて、その中になんとトトロのお店があったんです。僕はそれを知った途端、もはやそのお店を続けることはまかりならん、撤去せよと言ったんです。その時期にそれをめぐって、ジブリの中でもいろんな意見が出たんですよ。簡単にいえば80%の人が原発を安全だと言っているのに、なぜ鈴木さんはそういう態度をとるのかと。僕はそのとき、かなり感情的な言い方でね、会社としては原発に反対だよと。

あのときは事前に宮さんにも伝えました。その方針で行きますからって。

宮崎:僕も当然だと思います。



今回の騒動の始まりとジブリという会社の立ち位置を示したものだと思います。鈴木さんは徳間書店でアニメージュの編集長をしている1988年に、「風が吹くとき」に絡めて原発反対の特集を上の許可をとらずに載せて、怒られたという話を披露してます。その後、其の号のアニメージュが発売から3日という異例の速さで売り切れて、会社からこういうのをもっとやれという、お達しをうけたらしい。

鈴木さんは当時からずっと、それくらいの反対派。


今回、ジブリの屋上に原発反対の横断幕を掲げて何か圧力はなかった?

鈴木:圧力はないです。過去にジブリの作品で電力会社がスポンサーになって上映会をやりたいという申し入れは山のようにありましたね。それを1個1個つぶすのが僕としては大変でした。

河野:つぶすってどういうことですか?

鈴木:一見すると電力会社がスポンサーだってわからないような提案になっていたりするんです。主催が自然保護団体っぽい名前だったりして、でもよく見ると後援に電力会社がついている。「もののけ姫」のときには大々的にそれが行われようとしていて、直前で気づいてストップしました。ようするに原子力推進のためにジブリの作品を使いたいという、そういう企画は山のようにありましたよ。



ジブリという会社の信念は、生半可でなくブレないということが伝わります。


あと、この対談を読んでいくと段々見えてくるのですが、鈴木プロデューサーと宮崎監督の立ち位置の違いが面白い。2人とも「原発は反対である」という大きな大義がある。しかし、それを掲げる立場が違う。まさにジブリで映画を作っているときの2人の立場が、この対談に出ていると感じます。

鈴木さんはプロデューサーだから、映画をどうやって興行的に成功させるかを第一として、お仕事をされていると思うのです。言い方は悪いかもしれまえんが、作品そのものようりも作品の興行の成功に目が向いている。対して、宮崎駿さんは監督という立場から映画を作品としてどのように大成させるかが第一なのです。もちろん興行も意識しているとは思います。けれどまず第一に作品をどう完結するかが監督のお仕事なのではと思うのですね。2人とも作品を作りたいという大きな意味で同じ目標を掲げているけれど、お互いにそこに辿りつくプロセスが違うという感じだと思います。

対談を読んでいくと感じるのが、震災復興に対してのお二人の苛立ちが、鈴木さんは国という大きなビジョンで見て、復興政策に向いているのに対して、宮崎さんはもっと現場レベル、我々の身近な生活の中で困ったことについて苛立っているわけですね。プロデューサーと現場監督の違いが如実に対談に出て、その話の中にお互いを尊重した信頼が感じられます。そして、あくまで宮崎駿さんは現場での現役監督であることが、嬉しかったりしました。
これって先日のドキュメンタリー「コクリコ坂・父と子の300日戦争~宮崎駿×宮崎吾郎」を見ていても思いましたね。


とりあえず、ジブリ的な話で個人的に一番気になった点はこのあたりですが、23ページに及ぶ対談は、原発というものが日本の中でどのように扱われて来たかという点で、ものすごく濃い話で面白い。原発反対派も推進派も、どうでもいい派も、ジブリ好き派も、みんな取り敢えず読んで欲しい。


ちなみに今月の熱風の表紙を撮影したのは高坂希太郎さんとクレジットされてます。これアニメファン的に重要ね。
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(関連)宮崎駿監督が「NO!原発」プラカードを首からぶら下げて歩く姿が表紙!! 10日配布の8月号『熱風』

2 Comments

のら  

「NO!!原発反対」って記事のタイトルおかしいですね。熱風の表紙も「NO!原発」ってなってるし。原発反対がNOなのかと思った。

2011/08/20 (Sat) 23:45 | EDIT | REPLY |   

西尾西男  

すぐに修正しました。大変な違いになってしまうので、以後、気をつけます。ありがとうございます。

2011/08/21 (Sun) 07:36 | EDIT | REPLY |   

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